『すみません、ご利用者さんを転倒させてしまいました』
事業所さんからの連絡。
担当の方はとても責任を感じており、電話口でも、申し訳ございません、と言う思いが伝わってくる。
介護の仕事をしていて、1番防ぎたい事故なんですよね。
介護施設での事故の統計で、70パーセントを締める割合で起こる事故が、転倒、転落なんだそうです。
高齢者の方の転倒は、咄嗟のことにカラダが反応しないので、手で支えたり、手をついたりすることが出来ないので、頭を直接打ったりて、脳障害が出たり、骨折したりすることが多い。
確かに私がショートステイと言って、ホテルみたいな感覚で使っていただく、短期間だけ泊まる、施設で働いていたんですが、
その時の事故も転倒事故が多かったですね。
介護の仕事をしている現場の人にとっては、最大の悩みでもあると思います。
歩かせてあげたいけど、1人では歩けない。
そばについてだったら歩けるから、ついててあげたいけど、1人に付きっきりになることも出来ず、結局座っていてもらったり、転倒を防ぐために、車椅子移動になってしまったり。
お部屋でも、お一人お一人個室になっているので、お部屋で立ったり、動いたりしていても、死角になっているので、お部屋で起きていることが分からない。
センサーを置いてみるけど、センサーがなってから駆け付けても、間に合わなかったり、他の方を介助していたりして、すぐに駆け付けられない状況にあると、1人での対応は限界がある。
私が介護を勉強した時は、ちょうど寄り添い介護が始まった時くらいですかね。
老人保健施設に1番初めに働いていたのですが、その当初の介護は、ご利用者さんの人数も多くて、
入浴の時間なんて、まさに戦場のように人がごった返していて、いかに早く多くの人数をお風呂に入れるか、
パット交換も、いかに早く交換出来るか、
とにかく仕事が早い人が、
『介護が出来る人』
になっていた、
そんな介護が人として扱われてない、もっと本人の意思を大切にするべきだ、となり見直されて、ご本人の尊厳を守り、相手の心に寄り添った介護が始まる。
残存機能を活かして、出来ることは、時間がかかっても、本人の力で頑張ってもらったり、
認知症の方の介護は、本人に寄り添い、不穏になった時は、何故その不穏が起きているのか、本人は何を感じているのか、こちらの都合に合わせるのではなくて、相手の気持ちを分かってあげることで、不穏を解消していく。
そんな介護を教えられました。
でも、今の現場には人も足りず、高齢者の数は増えるばかり。
ご利用者さん、ご家族さんのご要望、ご希望もあるので、叶えてあげたい、叶えさせてあげたい、そんな現場の人たちの想いも分かるんです。
なかなか理想と現実の差はあるけど、一生懸命に介護してくれている現場の人たちには頭が下がります。
転倒をさせてしまって悔しい気持ち、申し訳ない気持ち分かります。
でも、一生懸命やってくれていることは、分かっています。
いつも有難う御座います🙏
かわ