助産師　内田美智子さんの言葉

そのお母さんは、

出産予定日の前日に胎動がないと来院。

すでに赤ちゃんの心臓は止まっていました。

体内で亡くなった赤ちゃんは異物に変わります。

早く出さないと、母体に異常が起こります

でも、産んでも何の喜びもない赤ちゃんを産むのは、大変なこと

普段なら私たちはずっと腰をさすって

『頑張り。元気な赤ちゃんに出会えるからがんばり』

と励ましますが、死産をする若いお母さんにはかける言葉がありません

赤ちゃんが元気に生まれてきた時の分娩室は賑やかですが、死産の時は、本当に静かです

シーンとした中に、お母さんの鳴く声だけが響くんです

明日お葬式をしないといけない

そのお母さんは一晩抱っこして寝ていいですかと言いました

私たちはいいですよと言い、赤ちゃんに綺麗な服を着せて、お母さんの部屋に連れて行きました

夜、看護師が様子を見に行くと、お母さんは月明かりに照らされベッドの上に座り、

『今ねこの子におっぱいをあげていたんですよ』

お母さんはじわっとこぼれるお乳を指ですくって赤ちゃんの口下まで運んでいたのです

死産であってもホルモンの働きでお乳が出始めます

お乳が張らないように薬で止めますが、すぐには止まりません

それを飲ませようとしていたのです

飲ませてあげたかったのでしょう

死産の子であってもお母さんにとっては、子供は宝物ものなんです

生きている子ならなおさらです

一晩中泣き度止まなかったりすると、あーうるさいなぁと思うかもしれませんが

それこそ母にとって最高に幸せなことなんですよ

生きていることは本当に奇跡なこと

当たり前じゃないんだってことを改めて感じさせられました

思い通りにならないことや

悩みがあったりするけれど

生きているだけで、奇跡なことで、幸せなことなだなって

授かった命を大切に、今ある悩みや、苦労も生きているから感じられること

今あることに感謝です🙏

生きたくても、生きられなかった人の分まで楽しまなきゃもったいないね

かわ