先日亡くなられた柔道の古賀さん選手の話
1988年のソウルオリンピックのこと。
20歳にして初の五輪、優勝候補として注目されていたが、3回戦でまさかの敗退。
日本に帰国すると、「頑張れ頑張れ」と声援を受けていた古賀選手は、一転して誹謗中傷の的となったそうなんです。
「古賀は世界で通用しない」
「あいつの柔道はもう終わった」
など、なぜそんなことを言われなければいけないのかとただただ憤慨するばかりだったとの事。
気づけば、古賀選手の周りからは潮が引くように誰もいなくなったそうなんです。
負けて悔しい思いをしているのに、なぜそのことを誰も理解しようとしてくれないのか。
もう人間なんて誰も信用できない。
落ち込み、とにかく人目につくのが怖くて、自分の部屋に閉じこもっていたそうなんです。
ある日、何気なくつけていたテレビの画面に、オリンピックの総集編が流れ、華々しく活躍する選手たちの映像とともに、惨敗だった日本柔道の特集も組まれており、3回戦で敗退した古賀選手の試合も映し出されていたそうなんです
ところが次の瞬間、カメラが観客席で応援していた両親が映された
おもむろに立ち上がった両親は試合会場を背にすると、日本から応援に駆けつけてくれていた人たちに向かって、期待に応えられなかった息子の代わりに深々と頭を下げていたそうなんです。
古賀選手はその時、初めて見る光景で、中学で親元を離れてひたすら柔道に打ち込み、ほとんど顔を合わせることがなかった両親が謝っている姿に古賀選手は大きなショックを受けそれまでは、
「おれが練習して、おれが強くなって、おれがオリンピックに行って、おれが負けて、おれが一番悔しいんだ」
そんな思いだったそうなんですが、
闘っていたのは自分一人ではなかったことに気付かされて、周りのサポートがあって始めて練習や試合に出れている事を感じたそうなんです。
親に頭を下げさせてはダメだ
そんな思いがあり、その次のバルセロナ五輪で金メダルを取られたとの事
スポーツでも、仕事でも、生活でも誰かのサポートがあり、誰かが助けてくれているから、自分がスポーツも出来ているし、仕事が出来ている。
生かされている
活かされている
その事を有難い、幸せと感じる事が大切だと思う。
かわ